パターン認識と機械学習 : グラフィカルモデル (準備編)
パターン認識と機械学習 (Pattern Recognition and Machine Learning; PRML) のメイントピックの一つである
1. 準備
加法定理と乗法定理
PRMLでは1章で確率論の基本事項を一通り紹介しています. ここではその中でも重要な二つ、加法定理と乗法定理について軽く紹介します.
加法定理
のとき、 $$ P(A \cup B) = P(A) + P(B) $$ が成り立つことを加法定理と呼びます. 例えば、サイコロを投げて1が出る事象をとし、3が出る事象をとします. このとき、であり、です.
したがって、加法定理より、サイコロを投げて1か3が出る確率は、となります.
より一般系では、となります. 上の加法定理は の場合の特殊なケースです.
乗法定理
他の事象を観測した下で、事象の起こる確率のことを、を条件とするの条件付き確率と呼び と定義されます. この式の両辺にを掛けると、 $$ P(A | B)P(B) = P(A \cap B) $$ が得られ、これを乗法定理と呼びます. 条件付き確率の時は、のとき分母に0が来てしまうため、定義できませんが、乗法定理の場合はのときでも定義できます.
確率論はこの二つの定理から成り立っています.
2. グラフィカルモデルの特徴
確率的推論を用いた機械学習の分野では複雑なモデルも、
しかし、代数的操作をするをよりもモデルを図式的に表現し、グラフ上の操作をして解いた方が便利なケースもあります. ここで確率モデルの図式的表現を
3. 用語の説明
グラフはノードとリンクの集まりで形成されます. ここで確率的グラフィカルモデルでは、各ノードが確率変数を表し、リンクが変数間の確率的関係を表します. グラフは、「全確率分布が、一部の変数のみに依存する因子の席としてどのように分解可能か
」という情報を表現します.
PRMLではまず、
- ベイジアンネットワーク:確率変数間の因果関係を表現
- マルコフ確率場:確率変数間の緩い束縛関係を表現
4. 参考文献
- パターン認識と機械学習 下 第8章
- 作者: C.M.ビショップ,元田浩,栗田多喜夫,樋口知之,松本裕治,村田昇
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2012/02/29
- メディア: 単行本
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